ある時、秀吉の御前で、誰が一番大きい歌を詠むかという競争が行われた。一人の家臣が進み出て歌った。
須弥山に腰うちかけて眺むれば、雲の海原目の下にあり
すると、他の家臣が私の方がもっと大きい歌を、といって次のように歌った。
須弥山にかけたる人を手にとりて,ぐっと呑めども喉にさわらず
そこで、秀吉の家臣で一番の知恵者である、曾呂利新左衛門がもっと大きい歌を歌う。
須弥山にかけたる人を呑む人を、鼻毛の先で吹きとばしけり
これで新左衛門の勝ちが決まった
「須弥山と極楽」 定方晟 より